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良い加減

 

 人それぞれ容姿が違えば性格も違う。多様な価値観を持つもの同士が共に生き活かされながら我々は日々生活をしております。私もお寺の運営や家庭の方針について一生懸命になるあまり、極端に物事を考えてしまう傾向があり、反省しなければと考えることがよくあります。

 

 お釈迦さまの教えに「中道」という教えがあります。中道とは、簡単にいえば極端な立場を離れることです。お釈迦さまは出家されてからは極端なほどの難行苦行に進まれましたが、結果、極端によって悟りは得られないことに気づかれ、中道をいくように決意されました。

 

 このようなおはなしがあります。お釈迦さまの弟子に、ソーナという熱心に修行に励む弟子がおりました。このソーナは生まれた時から非常に大事に育てられ、どこに行くにも自分の足で歩かずに、誰かが運んでくれました。そんなソーナは縁あってお釈迦さまの教えを聞き、出家したわけですが、自分で歩いたことが無かったソーナは裸足で托鉢に回ったり、山林にこもって修行を続けると足の裏の皮は破れ血まみれになってしまいます。真面目に修行を続けたにも関わらずいつまでたっても覚りを得られず悩んでいました。その様子を見たお釈迦さまは、譬え話をしましました。

 

 

「琴の弦は締め過ぎても、ゆるめ過ぎても良い音は出ない。丁度良い張り加減で美しい音色が奏でられるのである。修行もそれと同じで、追い詰め過ぎれば心が昂ぶり、努力を忘れるならばそれは怠惰となる。調和のとれた修行こそが正しい道に導くのだ」

 

 

 これを聞いたソーナは自身の修行を改め、後にさとりをひらいたとされます。

 

何事も極端に偏らないバランスを感覚を持ち、気を楽にして「良い加減」を見つけることが大切ではないでしょうか。

南無阿弥陀仏

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