金沢には、卯辰山・小立野台・寺町台の三つの台地丘陵があり、それぞれの場所では寺院群としてお寺が集まりました。これは元和二年(1616)ころ、一向一揆の不安を抱えていた加賀藩三代藩主・前田利常公が散在していた寺社を集め、金沢城の防備のために城下に寺社を配置しました。
その中の一つの寺町寺院群は70もの寺院が集まっています。また、加賀藩主前田家墓所へと至る旧野田道沿いに形成された野田寺町と、白山への参詣路である旧鶴来道沿いに形成された泉寺町から成る範囲が「寺町台伝統的建造物群保存地区」に選定されました。直線的な街路に沿って寺社が並ぶ野田寺町と、境内地の通り沿いに町屋が連なる寺社門前地が形成されている泉寺町という二つの町が対比する特徴的な景観です。
また、毎週土曜の夕方には梵鐘が鳴り響き、「残したい日本の音風景100選」にも選ばれており、整備された金沢の町の中にもどこか懐かしさも残る地域です。すぐ側には金沢市の観光地として有名な「にし茶屋街」もあります。